ハブ

< ハブとは >

ハブは、クサリヘビ科ハブ属のヘビの総称です。
マムシと並び日本ではとても有名な毒蛇。


< ハブの種類 >
日本国内ではハブの仲間は沖縄のみに生息していて、
ホンハブ、ヒメハブ、サキシマハブ、タイワンハブの4種類が確認されています。

@ホンハブ
一番分布が広く、個体数も多いハブ。
全長は大型になると2メートルを越える場合もあり、毒が強い。
白〜黄色地で、黒い細かい網目模様が特徴。
特にネズミを好んで食べる。

Aサキシマハブ
八重島列島のみに住んでいたが、最近は本当南部や宮古島でも発見されている。 大きさは1メートル程度まで。
体色は茶色く、鎖のような模様が入っている。
毒は弱め。

Bヒメハブ
全長はせいぜい80センチで小さいが、極端に胴体が太い。
暗褐色で斑紋は比較的薄い。
他の種よりも水辺を好み、カエルを主食にしている。
ハブとしては毒性は最も低く、大きな事故になった前例はまだない。

Cタイワンハブ
元々は中国大陸や台湾に生息していた外来種だが、人により持ち込まれて本島の東部にて繁殖。
最大1.2メートル程度で、灰褐色に黒い鎖の模様が入っている。
牙が細長い上に毒も強いので、人間にとっては危険な種。
ただし個体数は非常に少ない。
ほかの種よりは木の上での生活を好む。

ホンハブ サキシマハブ
ヒメハブ タイワンハブ
↑ハブ(左上)と、サキシマハブ(右上)、ヒメハブ(左下)、タイワンハブ(右下)

このページでは個体数が多くハブの咬傷事故の大半を占めるホンハブについて解説していきます。
以下ここではホンハブのことをハブと称します。


< ハブの身体的特徴 >
ハブは、全長は100cm〜150cm、体重は1kg〜2kg程度の大きさになります。
ただし環境によりその大きさにはかなり違いがあり、
2011年には全長250cm、体重3kgの個体が捕獲されてニュースになりました。
天敵が少ない場所では大型の個体が育ちやすい傾向にあるようです。

ただし近年では小遣い目当てでハブを捕獲する人が多いため、
駆除率が急速に高まり、あまり大きな個体は出現しにくくなったかもしれません。
(※捕獲すると県や市町村が報奨金として1匹4000円支払ってくれる)

体色はお腹のほうが白〜黄色で、黒い網目模様がついています。
ウロコはほかのヘビに比べると非常に目が細かく、判別の際にはひとつの目安になります。

頭部はマムシと同じく鼻先が尖った三角形で、
その槍のような形状から海外ではランス・ヘッド・シャークとも呼ばれています。
目と鼻の間にあるピットという感覚器官は獲物の熱を感知することができ、
餌を探す際にはレーダーのひとつとして使用して効率よく狩りをしています。


< ハブの性格と攻撃性 >
ヘビというと比較的臆病な種類が多いのですが、
ハブはどちらかというと気性が荒くて好戦的なほうです。
もちろん積極的にハブが近寄ってくるようなことはありませんが、
不用意に間合いに入ってしまうと、高い確率でその牙で攻撃を喰らうことになってしまいます。
飛びつく間合いは全長の2/3程度でジャンプはしません。
なので一般的には1.5メートルの距離をとれば安全だと言われています。


< ハブの毒 >
ハブの特徴として見逃せないのが、その強烈な毒です。
鋭い牙の先には毒腺があり、相手に噛み付いた際に直接その毒を体内に流し込みます。

毒の種類はマムシと同じく出血毒で、細胞を破壊して焼けるような強い痛みを相手に与えます。
毒そのものの強さはマムシより弱いと言われていますが、注入される毒の量がハブのほうが多いため、
結果的にはマムシに咬まれた場合よりも深刻な症状が出るケースが多くみられます。

血清が普及していない時代は、マムシの毒で亡くなる人の数は相当なものだったようです。
1960〜1970年ごろは毎年10人近くの人間の命がマムシによって失われていました。
それだけ毒性が強く、危険なヘビだったということです。

近年では血清の普及やインフラの充実により、ハブによって命を失うケースはほぼなくなりました。
1980年以降で死亡者はたった4人で、2000年以降は1人の死亡者も出ていません。
しかし命こそ失わないもの、血清の投与が遅れた場合はその部位が壊死してしまったり、
最悪切断するはめになってしまったりと、危険性の高い毒蛇であることは忘れてはいけません。
【追記】
2014年4月に男性が咬まれて死亡する事件が発生。
奄美群島の加計呂麻島にて51歳の男性が手を咬まれ、1時間半後に血清治療をしましたが、
その2時間後に死亡しました。


ハブ ホンハブ


< ハブの生活サイクルと繁殖 >
沖縄の温かい気候もあってか、ハブは冬眠をせずに一年中活動を続けています。
基本的に夜行性であるため、昼間はほとんど見かけることはありません。
茂みの中や、木の根元、石垣の隙間、地面の穴の中などでじっとしています。

夜になると餌を求めて付近を徘徊します。
行動範囲は一晩で約100メートル程度。

春頃にオスはメスを探して交尾を行います。
1匹のメスを巡って複数のオスが巻き付き合いながら争うことも。
無事に交尾に成功すると、メスは夏に卵を5個〜15個程度出産します。
そのメスが大きな体格をしていれば、それだけ多くの卵を一度に産むようです。

卵は一ヶ月半ぐらいで孵化し、30〜40cm程度の幼蛇が誕生します。
そして脱皮を繰り返して成長して、だいたい3年程度で1メートルを超す大きさになります。

ハブ ハブ


< ハブの主食 >
ハブは肉食性です。
普段はネズミ、トカゲ、カエルなどを食べていますが、
大型の個体になるとなんとウサギやハト、ネコを食べた例も。

その中でもやはりネズミが一番の好物で、ハブの食事のほとんどはネズミであると考えられています。
そのためネズミを追って家屋に侵入してしまうこともあり、
人間に対しての咬傷事故の原因にもなっています。

ハブ ハブ


< ハブといえばマングース >
ハブといえば連想するのがマングースですが、
マングースは元々1910年にインドから、ハブ駆除を期待して人間によって沖縄に持ち込まれたものです。

しかし夜行性であるハブと昼間に活動するマングースが遭遇することはほとんどなく、
仮に出会ったとしてもマングースは強敵であるハブを避けて、
狙いやすいヤンバルクイナやアミノクロウサギなどの天然記念物ばかり食べてしまうという皮肉な結果に。
マングース投入作戦は、史上最悪レベルの失敗作戦であったと言わざるを得ないでしょう。
ハブよりもマングースのほうが駆除の対象になっている現状はとても滑稽ですね。

一昔前は見世物で「ハブVSマングース」なんてものがやっていましたが、
動物愛護上の問題から今では実施されていません。
コブラさえも倒すマングースがハブに負けることはほとんどなかったようですが、
前述したとおり、密室に閉じ込めでもしない限りマングースがハブを積極的に攻撃することはありません。
「ハブVSマングース」というタイトルこそ知名度が高いですが、
これは自然界ではありえない、人工的に作られた対決だったわけです。
彼らは実はライバルでもなんでもなかったのです(笑)

マングース マングース

< ハブに咬まれないために >
血清が普及しているとはいえ、ハブが危険な生き物である事実は変わりません。
沖縄に住むにしても、旅行に行くにしても、
咬まれないための心構えだけは常に持っておきたいものです。

@ハブのすみかに近寄らない
ハブは明るい時間は、茂みの中、木の根元、石垣の隙間、地面の穴の中でじっとしています。
樹木の空洞や、放置されたゴミや木材の下、サトウキビなどの農作物の根元にいるケースもあります。
そういった場所に不用意に近づかないようにしましょう。
特に注意したいのは沖縄県内に非常に多い石垣。
生活圏に近いうえにハブにとっては格好の隠れ場所です。

ハブは自分の間合いに入ってきた熱源に本能的に飛びかかります。
ムチのようにしなるように素早く飛び掛ってくるため、飛び掛られてからでは避けることができません。
怪しい場所に行くときには「この陰にはハブがいるかも」という心構えを持って、
ハブより先にこちらが相手を目視・確認することが大切です。


Aハブを自宅に近寄らせない
自宅の周辺からハブの住処になりそうなものを排除しましょう。
草むらはこまめに手入れして、石垣は隙間をコンクリートで埋めるなどできればベストです。

後は1.5メートル以上のブロック塀を設置するのも効果的です。
ハブはすすんでブロック塀を乗り越えようとしません。

手軽なのは照明器具の設置。
夜行性のハブは灯りを避けるように行動しますので、
ハブの通り道になりそうな場所を明るくしておけば寄り付きにくくなります。
まぁ、そのぶん虫なんかが集まるようになってしまうので電撃殺虫灯なども必要になってしまいますが。

ちなみにハブが硫黄の臭いを嫌うっていうのは迷信です。
科学的に実証されたガセネタですので、硫黄に頼ることはやめましょう。
いまのところハブに対しての効果的な忌避剤というものは存在しませんので。

Bハブに出会ったら
できればその場をやり過ごして立ち去りたいものですが、
もし人家のそばで出会った場合は駆除するのが理想。
ここで逃がせばその個体が人や家畜に害を与える可能性が残ってしまうためです。
「退治するなんて私ゼッタイ無理ーッ!!」って足がすくんじゃう人は無理しなくていいですが(笑)

一番無難なのは長い棒状のもので戦うこと。
ハブ被害が多い奄美大島のほうでは家庭で常備していたり、
道端に「用心ぼう」という棒が設置されていたりします。
150cm以上の長さがあって、ある程度の重量があるものが理想です。

あらかじめ準備が必要ですが、ハブノックというハブ用の撃退スプレーも市販されています。
これは遠い距離から噴射してハブを攻撃することが可能で、
薬剤がかかったハブはすぐに苦しみ出し、数時間で衰弱死します。

ハブ ハブ


Cハブに咬まれてしまったら
まず何より大事なのは落ち着くことです。
もう10年以上、ハブの毒で死んだ人はいません。
無駄にパニックになると血流が早くなって、症状を悪化させる原因になるだけです。

とりあえず相手がハブであるかどうかを確認しましょう。
その蛇の見ためで判断がつく場合はいいですが、もし無理な場合は傷跡を見てください。
ハブの場合、上顎の牙×2と、下顎の牙×2で、最大4つの穴状の傷跡がつきます。
(※咬まれ方によっては傷が3つ以下の場合もあります)
比較的早い段階で傷口からじんじんと焼けるような痛みが広がっていきます。

次に咬まれた位置より心臓側をタオルなどで強く縛って圧迫します。
ただしこのとき力任せに縛り過ぎないように。
指一本入る程度の力加減で縛るようにしましょう。

その後は、傷口に口をつけてできる限り毒を吸い出します。
ハブの毒は口から含むぶんには人体にほとんど影響がありません。
仮に飲んでしまっても、胃でその毒は分解されます。
また口の中に傷があっても虫歯があっても構いません(多少炎症になるケースもあるようですが)。

そして走ったりせずにゆっくりと病院へ移動してください。
ハブに咬まれたことを先に病院に連絡できれば処置もよりスムーズになります。
甘くみずに、絶対に病院に行って血清を打ってもらってくださいね。
血清を打たないと咬まれた部位から壊死して、本当に大変なことになりますので。

ハブ ハブ


< ハブを生け捕りにすると報奨金がもらえる >
先の項でもチラリと触れましたが、事実です。
駆除して絶対数を減らすという面と、生きた個体で血清を製造するという面で需要があり、
国や市町村が大きさに関係なく1匹あたり4,000円で引き取っています(2013年時点)。

不況もあってか、このハブ獲りは老若男女問わずで人気が出てしまい、
報奨金の予算を使い切ってしまうほどの持ち込みがあって、大きなニュースになりました。
たしかに1匹4,000円っていうのは大きなお小遣いですよね(笑)
生け捕りにするためには捕獲器具の準備も必要ですが、
日常的にハブに接して暮らしてきた地元民にとって、
器具の準備も捕獲作業自体も気軽で簡単なことだったようです。

このハブの報奨金については、スリムクラブの真栄田賢がトークのネタにしています。
なんでも真栄田の父親がハブ捕りが上手いらしく、
次々と市役所にハブを持ち込んで日銭を稼いでいたそうです。
そうしたら、あまりの持ち込みの数の多さに市役所が怪しんで、
「養殖してるんじゃないか」とあらぬ疑惑をかけられてしまったそうで(笑)

みなさん、間違っても養殖とかしちゃダメですよ。
それで報奨金貰ってたら立派な詐欺罪になっちゃいますので(笑)


ハブVSマングースの動画:

< 近年のハブに関するニュース >
→2016年のハブのニュース
→2015年のハブのニュース
→2014年のハブのニュース

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